CRACK≡TRICK!

あらすじ
近未来、電脳化が一般的に行われている時代。
優秀な人材を輩出する教育機関【アカデミー】の卒業者である主人公【ハヤテ・キサラギ】は、
首席で卒業しながらも地位や名誉に関心がなく、故郷の街で探偵業を営んでいた。

アカデミーの在学生であり研修として半ば強引に転がり込んできたヒロイン【セラフィナ・グラシャーニ】と共に
ペット探しや浮気調査など、小さな事件を解決に導いてきた。

ある日、ハヤテの同窓生である【アデーレ・フォルガン】から奇妙な依頼を受ける。

フォルガン家の当主である彼女の祖父が危篤状態に陥ったことをきっかけに、親族たちが次々と不審な死を遂げた。

親族たちは決まって、死ぬ数日前に「赤いドレスの女を見た」と口にしたという。

「あなたには、守って欲しいの。私たち、三姉妹を。そして、暴いて欲しい。呪いの――真紅の貴婦人の、正体を」

好奇心を刺激されたセラフィナからの猛プッシュと、
旧友の頼みを断り切れなかったこともあり、依頼を承諾。

二人はフォルガン家の屋敷に招待され、真紅の貴婦人の影を追うこととなった。

「っていうか、いざ本当に大事件が舞い込んでくると、……探偵の仕事じゃねぇな。ってなりますね」
「まぁな……」
世界観設定
■ブレイン・エクステンド
脳機能を補助及び拡張（エクステンド）する技術。いわゆる電脳化。
デバイスなしでネットへの接続をも可能にする。

もともとは医療用に研究されており、脳になんらかの障害を負った患者に対し、
脳にチップを埋め込むことで脳機能を回復させることを目的としていた技術。

ナノマシンの発達により、チップを埋め込む手術は必要なくなり、
手術が不要になったことでリスクが低下し、安価にもなったため、
ブレイン・エクステンドは今や誰もが行うポピュラーな存在になっている。

あくまでも脳機能の補助とネット接続などの付加機能が備わるのみで、
知能が劇的に向上するものではない。
しかし稀に、ナノマシンが定着及び適応した結果、
予期せぬ機能を獲得することがある。

そのような機能、及び機能を獲得した人を、固有機能＜ユニーク＞と呼ぶ。

■固有機能＜ユニーク＞
ナノマシンが脳に定着・適応することで獲得する、仕様外の特殊機能。
どういった機能が発現するかは個々人によって異なる。

ナノマシンの機能ではなく、
ナノマシンの影響を受けた脳が獲得するある種の超能力のような力ではないか、
という説もあるが、どういった理由で発現するのかすらまったくわかっていないため、
フォルガンをはじめ、どの企業も固有機能＜ユニーク＞解明に躍起になっている。

■フォルガン
エクステンド業界をけん引する大企業。
ヨハンネス・フォルガンが一代で築き上げ、幹部も親族で固めていることから、
フォルガン家の独裁帝国と揶揄されることもある。

アカデミーのスポンサーでもあり、
エクステンドの開発と研究に莫大な予算を投じている。

ナノマシン投入時、極々まれに拒否反応が出ることがあるが、
フォルガン製のナノマシンは最も拒否反応が出にくい――つまり適応しやすいとされ、
業界シェアナンバー１となっている。

その質の良さはアカデミーとの連携によるところが大きいが、
アカデミー設立前、エクステンドが出始めたころから
他企業の追随を許さない技術を有していた。
そのことから、「フォルガンこそが人体実験を主導しているのでは」と、
黒い噂も絶えない。

現在ヨハンネスは一線を退いており、息子が跡を継いでいる。

■アカデミー
優秀な人物を多く輩出する教育機関。
同時に、エクステンド研究機関でもあり、
確実に固有機能＜ユニーク＞を発現させることを目的とし、 固有機能＜ユニーク＞を発現させやすい若者を世界中から集めている。
エクステンド化を行っていない生徒は、入学時に○制的にナノマシンが注入され、
固有機能＜ユニーク＞を発現させるための教育を受けることになる。

エクステンド研究・開発の最大手である大企業『フォルガン』のスポンサードにより、
エクステンド化に費用はかからず、返済不要の奨学金制度も存在するなど、
将来を夢見る少年・少女が熱望する進路のひとつとなっている。

仮に固有機能＜ユニーク＞を発現できなくとも冷遇されることはなく、
アカデミー出身というだけで就職先にも困らない。