――わたしには、未来の記憶がある。 高校三年生の茂住歩人の前に現れた見知らぬ少女はそう言った。 幼少期の記憶とピアノの音を失った歩人。 一方で、弟のトキオは天賦のピアノの才に恵まれていた。 何故、自分にはピアノの音だけが聞こえないのか。 漠然とした不安を抱える歩人は、想いを寄せる同級生にも自分の気持ちを伝えられないでいた。 高校最後の夏。 未来の記憶を持つ少女の導きが、歩人の運命を大きく動かし始める。 切なく儚い、ひと夏の恋物語。