「宗司は想像したことないのか? お姉さんとの、あれこれをさ!」 クラスメイトの冷やかし半分の話題に、俺は曖昧に笑いながら耳をそらしていた。 そんな放課後の無駄話を適当に切り上げて、皆と出ると――。 「宗司~! いっしょに帰ろ~!」 背中に飛び込んできた明るい声。 元気いっぱいに手を振るのは、姉の高幡桃美だ。 「ほら宗司、呼んでるぜ」 さっきの会話を引きずったクラスメイトが、にやにやと意味深な笑みを浮かべる。 ――いたたまれない。 俺は姉ちゃんを無視して走り出す。 逃げた理由は、恥ずかしさなんかじゃない。 本当はわかっている。 ……姉を“ひとりの女性”として見てしまっているのだ。