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はるかはるか、とおいむかし。天上と呼ばれる国で、人ならざる者達の戦争が起きた。 世に言われる「ラグナロク」と呼ばれるその戦争で、天上に居た全ての神、悪魔達は滅びを迎える事となった。 ……そう、思われていた。 舞台は変わり、日本の北端とあるボロ屋。隙間風の吹き荒ぶオンボロ家で、主人公ニヨルドは、今日もイライラしていた。 彼、ニヨルドは、かつてラグナロクで滅びたと信じられていた、魔王と呼ばれる存在だった。 そんな彼が、何故イラ立っているのだろうか。 魔王という自らの身分に見合ぬボロ家に? それもあるが、今は違う。 食べる物もろくに無い極貧生活に? それもかなりあるが、今は違う。 妹とはいえフリーダムすぎる妹に? それも相当ありはするが、今は、違う。 全ての理由は彼の目前。テレビに映る、きゃぴぴゃぴとした「神」の姿。 人間界をかけた戦争、ラグナロクで勝った神族は、今や人間界をマスメディアから支配していた。 テレビ画面で楽しそうに歌い踊る仇敵。耳障りな神の唄。極貧生活を送る自分とは対極に位置する神々に、彼の怒りはもう限界に達していた。 「くっ……おのれ神々め……これまでは大目に見てやっておったが、もう勘弁ならん! ネリー!」 「はい?」 「お前、歌は好きだな?」 「ええまあ、歌うのは好きですけど」 「ならば行くぞ! 戦争だ!」 「はあ!? 自分が何言ってるか、ちゃんと分かってますか!? つか歌関係無いし!」 「ならば簡単なことだろう! 神共相手に、歌で戦争を仕掛けるぞ!」 「うっわ、すっごい短絡思考! ちょ、ちょっと待って! 引っ張らないでくださいって!」 威厳もプライドもかなぐり捨てて、堕ちた魔王は今走り出す。 光り輝く舞台へと、新たな神話を始める為に。
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